NETFLIX 動物世界〜この頃噂の中国版カイジ!

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出典:

https://www.google.co.jp/amp/cinefil.tokyo/_amp/_ct/17186459

 

前々から話題になっていた“中国版カイジ”『動物世界』がNetflixに登場!ということで観てみました。中国の映画市場では上半期の興行収入は米国での成績を超え、観客数は9億人に達した…という事実が確認されているが、下半期もその勢いは止まらなかったという。

 

以下、予告編


《动物世界》Animal World ‖ 先导预告片 李易峰化身小丑搭档道格拉斯444

 

まず端的に感想をば。

面白かったです!!

 

 

◼︎これってカイジ?な“楽しい”アクセント

 

大元のあらすじは福本伸行の原作漫画と一緒。友人の借金を肩代わりし、多額の負債を負ったカイジ(本作では鄭開司)。彼は謎の組織が運営するギャンブル船に乗り込み、「限定ジャンケン」に挑むのだが…というもの。

 

最初はこれ必要か?と笑ってしまうほどには豪華なVFXシーンがてんこ盛り(しかも大体が主人公の妄想オチとして終わる)で、多少辟易しながらも画面の賑やかさが単純に眼福で。「とにかくゲーム自体は地味だから隙あらば騒いどこ!」という意気やよし、まあ贅沢である。カメラワークや演出も豪奢。

 

何やら主人公に「幼い頃観たアニメのピエロと自身を混同してしまう」幻視系の障害があるようで、その度に彼自身のが見るショッキングなビジュアルがキレッキレのCGと鮮明な映像で観せられる。

 

これが後半になると、ちゃんと抑えの演技合戦になって面白く。前半で良いだけ用いられてたピエロモチーフ人がモンスターに見えるドラッギーな描写も要所要所で扱われ、画面に良いアクセントとして効いていたように思う。

 

ゴジラ/ファイナルウォーズ』に出てきたX星人みたいなボディスーツ&サングラスで出てくる黒服の男達といい、彫り込みが細かくなったジャンケンカードといいちょっと「国内じゃ(※ケチつけられるから)出来ない絶妙なアレンジ」が多いのもまあ楽しい。

 

自分は確率、というかそもそも算数に弱いのでカイジの計算がどれほど正確なのか…は微妙に分からないが、ゲームロジックに関する説明が物語のテンポを殺さない程度に留まっていたのも良かった。

 

 

〜〜以下、ネタバレを含みますので未見の方はご注意下さい〜〜

 

 

◼︎大胆な再構築   やっぱ強いよダグラスの存在感

 

主人公を演じたリー・イーフォンは初めて観ましたが、日本でいう東出昌大のような顔立ちで、眉毛の角度やシャープな視線は正に福本作画のカイジと言った風貌だった。藤原竜也よりイメージには合ってたかなあと(彼の熱演も好きですけどね)。声の発し方も、ところどころに人の良さが滲む感じが◎。

 

結構な改変要素のひとつ、チョウ・ドンユィ(『サンザシの樹の下で』の子ですね)演じたヒロインの存在もまた良かったように思います。

サンザシの樹の下で (字幕版)
 

 

主人公がこの殺伐なギャンブル世界から帰るための理由として、シンボリックに存在するやや薄幸気味な面立ちの彼女。カイジの幼馴染で、彼の母親の入院費を工面してくれている設定もあり。ちょっと“都合の良すぎる女”感もあるんだけども。

 

まあ、なんでこんないい子が狂犬カイジに惹かれたのか最後までちょっと分からないままだったんですけどね!

 

面白いな、と思ったのはカイジの父親という存在を登場させ、マイケル・ダグラス演じる利根川(こっちの役名不詳ですみません!)と因縁づけさせたとこ。

 

カイジのピエロアニメと自身の混同は、彼が子供だった時に、彼の父親を狙って家に押し入ったダグラス組織の暴挙がPTSDになったこととと関係していた。おそらく、カイジの父親も何らかの形でゲームに携わっていたものと思われる。

 

両親や自身が拘束され、その時テレビで流れていたアニメがピエロ(←福本伸行の作画っぽい)がモンスターをバッサバッサとなぎ倒す内容のもので。劇中ではそう示唆されなかったのだが、好戦的な性格より自身の非力さを憂う気持ちが彼の意識を豪腕なピエロと同化させたのではないかと推測した。

 

ラスト、自由を手にしたカイジの元に再び現れたダグラス利根川。やっぱここでの存在感も半端ではない。「父親とそっくりだな…」というベタなセリフ、そしてまた顔がピエロへとフラッシュバックするカイジ〜〜〜

 

と、ここで続く!!!のロゴが出て『動物世界』は幕を下ろす。何とも続きが気になる感じで、原作ファンもちょっと想像し得ないようなツイストが多々見受けられる展開には賛否あると思う。だけど適度にライトな物語運び、ビビッドな映像が楽しめるという点ではサスペンス、デス・ゲーム作品として良い線だったし好きです。個人的には参加者の多様な関係性や価値観の差をしっかり描いてくれた点が何より嬉しかった。

 

◼︎(次作待たれる…)

 

やっぱ過去の心的外傷とヒロインの登場で、原作の彼とは比べものにならない程のプッツン野郎に見えたカイジ像がちょっと面白かったかな。看護師であるヒロインが入院患者にヘラヘラ浣腸を頼まれるのを見ただけで逆上しその患者に襲いかかるとか、髪を洗うヒロインの洗面台の水に赤い液体を落とすイタズラをするとか。でもぶっちゃけ「俺は常に戦いの中に身を投げる男だ…」とモノローグで宣うタイプの男ほどデスゲーム物の主人公として頼もしいので、次回作、大変期待させていただきます。

 

途中出てきたシャッフルマン(原作でいう船井)の若干中途半端な扱いとか、コイツの行動原理がふにゃふにゃっぽく見えたこととかちょい食い足らなかった点は続編で回収してもらいたいところ。(本作では紋切り型というかややチープなシークエンスで見せられたけど)脱落者は人体実験云々…とか言ってたし、ゴリゴリなSF展開も期待できるかもね!!

 

つうかマイケル・ダグラスの顔観てたら『アントマン&ワスプ』観たくなっちゃったな…。映画館行こうかしら

 

(おわり)