個人的至高のアニソン!!アニメシーンを引き立てる名曲5選
こんばんは。アベニティです。
いきなりですが、アニソンって良いですよね。作品の顔や象徴であって、アーティストとの相乗如何によってはすごい化学反応が起こってたりもする。
作品は好きじゃないけど曲は好き!というケースもたまに耳にするけど、個人的には楽曲あってのアニメーションだという認識が強いせいかそういう意見にはあまりピンと来ない。
ということで、作品と共に心に残るアニソン5選を綴ります。個人的なお気に入りは山ほどあるんだけど、挙げていけばキリがないのでよく聴くものから5曲選抜。
- 最初で最後の恋(FAYRAY)
- 煌めく浜辺(大原ゆい子)
- ビバナミダ(岡村靖幸)
- シュガーソングとビターステップ(UNISON SQUARE GARDEN)
- THE REAL FOLK BLUES(Mai Yamane)
だいぶテーマに偏りが出てしまった気がしますが(うち二曲はアニメ監督が同じだったり)、ここは個人趣味によるあれだから割り切ることにして。順に推薦させていただこうと思います
◼︎世界観との相乗効果!!〜最初で最後の恋、煌めく浜辺
湯浅政明監督『マインド・ゲーム』は、ひょんなことから一度死んだ青年が“神さま”と対峙して復活、初恋の女性の父親に因縁を持つヤクザの一味から彼女を救出するところから始まる。その先で彼女と一緒にクジラに飲まれ、その中でのんびり暮らすもある日人間世界への帰還を決意する〜までを描いた極めて寓話性の高い劇場用アニメだ。
彼が命を落とすのは居酒屋にて。そこでヤクザに脅され、男が放った銃弾が尻から頭に向かって抜けるという死に方をするまでは初恋の人とその姉、彼女たちの父親と酒を酌み交わしていた。
その場面で流れていて、尚且つエンディング・テーマにも用いられた一曲が FAYRAYの『最初で最後の恋』だった。寂しげな出だしから中盤、ほっこりするようなサビへの転調が優しい、スローなバラードである。
初恋の女性との関係に煮え切らない思いを抱く主人公が偶然彼女と再会する〜ところから物語は転がりだすが、逃げ出した先のクジラの腹の中から出られなくなり、彼女と同棲(正確にはヒロインの姉、そして先に住み着いた男が一人)、体を交わして退屈になればイマジネーションの世界の中に飛び込んで遊ぶということをしていた。そんな彼がある日、他の人達と一緒に現世に舞い戻ることを決意する。
理由は一つ、人らしく生きるためだ。
「信じられないような悪いやつ、また良いやつがごまんといる」世界へのノスタルジー、コミュニケーションへの渇望が、閉ざされたところにいる彼らを突き動かす。そしてクジラの口外を目指すのだけれど、ここが圧倒的な情報量と色彩、スピード感で迫る。それぞれが巨大な舌の上を韋駄天のように駆け、走馬灯のように今までの思い出を巡らせるシーンがドラッギーなまでのフラッシュバックでグイグイ見せられていく。
そんな劇的な展開の果て、物語の幕切れにそっと流れだすのがこのエンディング・テーマである。
思えば、全てはあの日、あの居酒屋での一件から始まっていた。手も繋げなかった初恋の苦い思い出から抜け出せたのも、見たことがないもの・経験してこなかったものに触れられたのも、再び“世界”の全容を目の当たりにして涙を流せたのもあの日の事件があったからだ。
主人公達がそう考えたかは定かではないものの、観客の全員が「振り返ってみれば〜」をしみじみ共有できるという点で優れた名曲である。本当にちょっと居酒屋で流れていそうなメロディ、歌詞のディティールが小憎く、そのまま主人公の境遇と重ねられるというエモさもばっちり讃えている。
『煌めく浜辺』はTVアニメ『宝石の国』のエンディング・テーマ。
面白法人カヤックが作るオープニング映像にしっかり決まっていた『鏡面の波』も大好きだが、キャラクターの心情をそのまま書き出したような瑞々しさがある後者より、世界観の設定や今後のストーリー展開を思わせるワードが如実に盛り込まれた前者の方が作品の本質的な壮大さを讃えていて好きなのでこちらを。
この時のエンディングアニメーションの制作に携わったのが、作中の演出も担当したアーティストの久野遥子。シンプルかつ幻想的な映像と、透き通った声質での歌唱が胸に響いた。
そういえば、この曲を歌う歌手:大原ゆい子の歌い方が丁寧で好きだなあと思ってググって見たら、ちょっと面白いインタビューを見つけたので是非。 文章中の鈴木慶一氏というのは、この曲の作詞・作曲・編曲を手がけた人物でサイケデリック音楽界の重鎮。しかし鈴木さん、ここまで作品の根幹というか、全体的なテイストに踏み込んでいくような曲を作ってしまうなんて凄い。
───詞と曲、どちらも独特な感覚がありますよね。そのふたつを組み合わせてひとつの歌にしていく難しさがあったと?
大原 そうですね。でも曲を仕上げていくプリプロの段階から鈴木慶一さんが立ち会ってくれたので、ディレクションやアドバイスをいただけて、この曲への向き合い方を見つけることができました。
───どんな歌い方になったのでしょうか?
大原 ひと言ずつ宝石を置いていくように歌う、みたいなイメージですね。歌に感情を注ぎ込むのではなくもっと力を抜いて、歌の世界に声をあてはめていくような。ちょっと不思議な感覚です。このような歌い方は初めてだったので、なかなか難しかったのですが、この曲のもつ独特な雰囲気をうまく表現できたと思います。
───これまでになかった歌の表現になったのですね。
大原 「煌めく浜辺」のメロディーやサウンド、詞やその表現方法など、どれもがすごく新鮮でした。そういった点でも今回は貴重な経験をさせてもらいました。シンガーソングライターとして影響を受けましたし、自分の音楽の幅も広がったと思います。素晴らしい曲と出会うことができて、大変うれしかったです。
出典
:https://www.google.co.jp/amp/s/www.lisani.jp/0000100124/amp/
◼︎作品の雰囲気そのもの!内容とほぼイコールな楽曲3選
『ビバナミダ』岡村靖幸
狂おしいほど大好きな一曲でLINEのホーム画面に貼ってます。アニメ『スペース★ダンディ』のオープニング・テーマ。本編に関して言えばエピソード毎の記憶は微妙に曖昧だが、「研ぎ澄まされた適当、磨き抜かれたいい加減」をテーマに制作された当作品は極めておバカ度の高い内容になっていた記憶がある。おしりに胸といった女体好き、宇宙を股にかけたバウンティハンターとそのポンコツ仲間たちの物語。
総監督に渡辺信一郎(世界のナベシン)、音楽に菅野よう子、大友克洋や湯浅政明も参加した超★大人の悪ふざけ。声優陣も脇に至るまでやたら豪華で、毎回キャスティングを見る度に変な笑いが出た。コンセプトの面からみれば件のクソアニメ『ポプテピピック』の先駆けとも言えよう。
端正なカッコよさとはちょっと違う、やや半音上げた岡村の独特の歌い方が「明快なハードボイルドから梯子を外した本作品の方向性」と奇跡の合致を見せた。気だるげ、破壊的、ノリノリでセクシーなリズムに乗せて踊る主人公のOPは今でも強く印象に残っている。
いつもの岡村ちゃん的な非モテ男の悲恋歌でありながら、“シャラルラ”と言った擬音や「零れ落ちる」「止まらない」「共に行く」と言ったフレーズ諸々が宇宙を旅するような躍動的なイメージとして形成していくのが本当に上手くて、またサビ前の転調も天才的という他なく。。。
これ、キャラクター化されたきれいな岡村ちゃんが踊るPVもとてもキモ可愛い(褒めてます)ので機会があれば是非ご覧ください。このPVだけでもアニメ全体の雰囲気がわかると思う。
『シュガーソングとビターステップ』UNISON SQUARE GARDEN
『血界戦線』第一期のED。血界戦線のアニメはほんと声優、作画と楽曲に恵まれた(ほとんど全部じゃん?)稀有なシリーズだったなあと思う。
登場キャラクター達が舞台の上でダンスを魅せる(人物それぞれの特徴を掴んだ細やかな動きも出色!)という極めて楽しい映像をバックに流れる、お洒落でキュートなナンバー。ある種楽屋落ちっぽいムードがあり、一話ないし二話完結の物語をお芝居に見立てるような演出がクレバーだった。
「超天変地異みたいな狂騒」「世界中を驚かせてしまう夜になる」と言った物々しくもちょっと豪華な歌詞、熟語が羅列する曲のテーマは自分自身の持ち味を活かしながらトップを目指していこうぜ!!という明快なもので。
歌い手であるユニゾンの意思表明の曲でありながら『血界戦線』のストーリーにもきっちり通ずる歌詞内容にびっくりの一曲です。ちなみに血界はこの他のOP、EDも外せないシリーズで、同じくユニゾンが手がけた二期主題歌の『fake town baby』、BUMP OF CHICKENが歌う『Hello,world! 』、前述の岡村靖幸とラップシンガーのDAOKOがタッグを組んだ『ステップアップLOVE』…などどれも珠玉の名曲揃い。スチャダラパーによる劇中曲とかもさりげにリッチでアツいですよね。
『THE REAL FOLK BLUES』Mai Yamane
『スペース★ダンディ』と同じく渡辺監督の作品『カウボーイビバップ』のEDだが、こっちはカッコいい男がわんさか出てくるコッテコテなハードボイルドにビシッとそぐった一曲になっていて。
『カウボーイビバップ』といえば90年代アニメを代表する、正にアウトロー作品の金字塔と呼べる作品。
内容に関していえばまあ、男同士の小粋なやり取り、映えあるアクションで魅せるために作られた作品〜という印象もあってか既視感ある展開もそこそこ見受けられた。
だが、このどベタさはあくまで狙ったものだということがこの曲のタイトルからでも理解できる(何せ『THE REAL FOLK BLUES』ですよ。シラフじゃなかなかこのワードを選べない…の域)。
そして終盤、「あれでしょ、サザエさん方式で事件な日常が綴られていくんでしょ?」とタカを括って観ていたファン(私です)にとってちょっと意外なキャラクター離脱劇があったり、ラストに向かって主人公の物語が劇的に収束していく様に驚かされた。
最終回まで観れば、この曲の歌詞にある「ひとつの目で明日を見て ひとつの目で昨日を見つめてる〜」の意味がしっかりと重くのしかかる構成になっており、まさにエンディングテーマが主人公の挽歌へと変わる瞬間が訪れるのだ。嗚呼なんて暑苦しさ、なんてカッコよさ。
秋の夜長はぼんやり映画やアニメを観、音楽を聴くのには絶好のタイミングです。台風等で外に出られないなら尚のこと、じっくり作品を鑑賞して画面内の音(楽)に耳をすましてみるのはいかがでしょうか。