仮面ライダーエグゼイド〜あれから2年〜

どうも、アベニティです。

 

仮面ライダーエグゼイド Blu-ray COLLECTION 1

仮面ライダーエグゼイド Blu-ray COLLECTION 1

 

 

仮面ライダーエグゼイドは2016〜2017年にかけて放送された仮面ライダー。まずそのルックが発表されるなり賛否を呼び、世間を賑わせる。

 

「これが仮面ライダー??」「ネタ切れか、平成ライダーも終わったな」そういった意見も飛び交ったが、放送開始から少ししてポップでカラフルなデザイン・陰を忍ばせた物語にハマる人が続出。

 

 

何より視聴者が驚かされたのは、話が進むにつれて整合性はそこそこにドライブ感がマシマシなアクション・イベント盛りだくさん構造になっていく作劇である。

 

ここでも未だにファンとアンチ、考察班の間で一大論争が勃発するだけのものがあって、最近も掲示板やTwitterそこそこなバトルを見ました。まぁ大体は他作との雑な比較が火種になるケースが大体なのだけど、それでも語る・攻める・守るだけの内容の充実があるというのは美点だと思う。

 

また、終盤にはCGエフェクトと相性の良い格闘シーンの目白押しがあって、その理由は「一人で全話執筆の脚本家・高橋悠也が書くホン(脚本)のあがりが早い」からではないか、という噂が持ち上がった。これはちょっとソースが曖昧なので明確に断言できないが、高橋自身は早く仕事をすることを心がけているようだ。

 

 

 

■筆の韋駄天!!高橋悠也という男

 

以下は、アントレネットMagazinehttps://entrenet.jp/magazine/16207/)に掲載された高橋悠也のインタビュー。

 

普通、仮面ライダーシリーズはメインライターの他に数人のサブライターを加えて、脚本を書いていくのですが、前編でも話した通り、僕は『エグゼイド』が大好きだったので、なんとかして全話書き上げたかったんですよね。 

撮影が迫っている時は3日で2話分(1話あたり400字詰め原稿用紙約25枚分、10,000〜15,000文字程度)の脚本を書いていたので、なかなか大変でしたけど(笑)。

 

出典:

https://entrenet.jp/magazine/16207/

 

―「スケジュールかクオリティか」を選ぶという苦渋の選択で、締め切りを優先させたのはなぜでしょう?


高橋さん
当たり前なことですが、僕を含めたおそらく全ての脚本家は、可能な限り自分が納得できるクオリティのものを書きたいと思っているでしょう。 

しかし脚本に限らずですが、あらゆるクリエイティブの仕事において「100点を目指しすぎる」と、どうしても締め切りギリギリまで粘ってしまいたくなり、時には締め切りを延ばしてしまうこともあります。

しかし映像作品は、脚本だけで完成するわけではありません。

脚本を書く人がいて、実際にその筋書きで演じる人がいて、役者が演じている様子を撮る人がいて、撮った映像を編集する人がいる。

たくさんの人が関わって1つの作品を作り上げています。自分が100点を目指したいがために、限られた時間を必要以上に使い続けてしまうのは、作品にとってもマイナスになりかねない。

 

出典:

https://entrenet.jp/magazine/16207/

 

速筆能力。それは彼の戦略であったのだ。クオリティへの言及も、ちょっと分かるところがあって面白い(すみません)。

 

―だからこそ、締め切りを優先させたんですね。


高橋さん
はい。脚本家がごまんといる世界で、仕事を勝ち取っていくために『少なくてもスケジュールを守る、筆の早い脚本家である』というスタイルを貫こうと心がけました。 

もちろん締め切りに遅れようとも、圧倒的なクオリティの作品を書き上げるのも1つの答えだと思いますが、僕は逆に、少なくとも信頼を得られるまでは、締め切りを最優先させようと思ったんです。

その結果、プロデューサーを始めとするドラマやアニメの制作スタッフに「仕事が速い」「納期を必ず守ってくれる」と、評価していただけることが多くなり、次第に仕事が増えていきました。

 

出典:

https://entrenet.jp/magazine/16207/

 

 そして大きな論争の火種になるポイントはもう一つ。医療ドラマとして「命の大切さ」について描けていたか否か、という部分である。

 

■最大の問題!!エグゼイドが描いた「生命」とは

 

これは、個人的な見解を述べさせていただければ「他者をいたわって生きていこう」とか「命は有限だから大事にしよう」とかのテーマ性が描けていたか…?と言えば、私は否、だと思っている。それにしてはみんな私利私欲のために動き過ぎだし、行動原理も揺れすぎだし…と。

 

そうじゃなく、後半パート(3クール目くらい)から

自身の生をどう有効に使っていくべきか? という点にスポットが当たる作品として成立していたと思うのだ。

 

本作での怪人、一時期は無敵に思えたデータ生命であるバグスターにも消去・消滅による死が存在すると知らされた後、自らの命を捧げることで好敵手の身を庇ったグラファイト。一度は人の命を弄んだ(結果それぞれの人間はデータ化された)怪人の身として、多くの人を守るためにその身を散らせたパラドポッピーピポパポ

死するまでのダメージを負っても、99回までは復活が可能な身体にと自らを改造、果てなき夢と野望を叶えんと努力を続けたシリーズ最大の悪役・檀黎斗。

データ怪人が自身の身体に棲みついていることすら自らの個性と認識し、これからも戦い続けることを選択した主人公・宝生永夢

 

彼らがそれぞれの決意や行動に触れ、各キャラクターが苦悩し、孤立し、迷い、それでも共通の敵に向かわんとギリギリのところで共闘へ踏み切っていくシークエンスに無類の熱さを見た。最後まで、生命をデータに置き換えることについての問題点について詳細に触れられなかったのは若干残念ではあったが(その方が一個人の元に管理されやすいからかな?とかいう憶測は一応いくらでも立つけど)、生命に対する価値観の衝突が物語の華であったのは疑いようのない事実である。

 

「後に復活するキャラクターがいたから生命がテーマ云々と言っても~」というブーイングがどこからか聴こえてきそうだが、ここではキャラクターが自身の命の使い道についての覚悟を見せるシーンこそが重要だと捉えており、パーティーにいたほとんどが生き返ったから本作品のテーマ性が軽くなった、等とは微塵も考えてはいない。

 

もちろん、設定諸々に粗や説明不足を感じない訳ではないが、この展開に視聴者が大いに盛り上がって観れていたというのは間違いではないだろう。少なくとも私はそうだった。

 

前半と後半で、ちょっと違うテンションのものが観られる!と取るか、ライトなノリや詰め込まれていく要素にハマれず前半はチープで後半は雑!と感じてしまうかで感想が全然違うシリーズではあるが、個人的には平成二期シリーズで1、2を争うほど好きな一作となった。それは、最終回から約2年経った今でも変わらない。

 

■追記   その後の高橋悠也

 

TVアニメシリーズ、タイバニ、ルパン、そして本作と仕事を重ねて来た高橋だったが、その後はエグゼイドのスピンオフ3作を経た後に平成ライダーの劇場版を共作で担当。そこからの仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』の物語は、貫禄すら感じさせるなかなかキレた仕上がりで決まっていた。質よりスピードとの目標を掲げてきた高橋が、その速度を保ちながらもグイグイ腕を上げてくる様には一ファンとして感極まってくるところである。

 

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 [Blu-ray]

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(おしまい)