冗談抜きに世紀の傑作。LEGO(R)ムービー

 

LEGO(R)ムービー Blu-ray

 

2日前、『スパイダーマン: スパイダーバース』の予告編を確認。これがちょっと冗談じゃないくらいに面白そうでびっくりしまして。

 

またプロデューサーを引き受けているフィル・ロード&クリス・ミラーのテイスト的なのが見受けられた(チームみんなで壁に沿って動くコミカルなところ等)せいか、彼らが手掛けた傑作『LEGO(R)ムービー』(2014年)のことを思い出して病的なまでに観たくなった。

 

 

ということで、何十回目かの再再再鑑賞。私自身、3DCGのキッズムービーとして、ここまで全ての要素が煮詰められたレベルの濃厚な作品を他に知らない。

 

ゲラゲラ笑えてびょおびょお泣けて、しまいにはその心意気に超驚嘆するハイパークリエイティブな逸品。最近映画が好きになったという人にはほぼ必ず薦める一本です。

 

 

◼︎「あれもこれも、み〜んなレゴ!!」クリエイティブな変態性


全てがレゴで出来た世界が舞台だが、ほんとにあらゆる物体がレゴの結合体及びソロのピースで表現されている。しかも、そのほとんどがコンピューターグラフィックスによるものだというからその執念にひっくり返る。噴煙や水面などの細かい自然現象も全部レゴで構成されており、炎などはクリアーパーツ(を模したCG)で作られている。

 

レゴのピース一つ一つにある明暗のリアリティ。表面にある若干の凹凸しかり、その上さらに人の指紋らしきものが残っていたりしてすごい。

そういった細やかな配慮・凝り具合が「今まで誰も見たこともない」画面を演出するのにすさまじい効果を上げている。正に実写との境が分からないレベルのCG技術に驚かされ続けるのだ。

 

が、それだけじゃなく…。

 

◼︎まさかまさかの大仕掛け、実は〇〇のお話だった!!


その設定自体が物語終盤の”とある大仕掛け”の一部になっていて、大オチで示唆される「創造性とは何か」といった人類永遠の問いに対する某視点からの回答にはイボのような鳥肌が立つ。

 

またこれは多くの人が賞賛するところなんだけど、マニュアル型の主人公が新しい個性を見つける話ではなく、主人公が”マニュアル型”という個性を見つけ、皆がそれを認めていく話になっている点も特筆もの(ラストのカタルシスある場面は、それを経ての応用を手に入れる展開だと思ったので)。

 

これがひたすら新しかった。劇中のブロックキャラの”死”に近い概念の提示も鮮やか、脚本の完成度にケチをつけるのが難しい(ぶっちゃけ最後に登場した父親を”悪い人”呼ばわりするのはテーマ的にちょっと危ういとも思ったけど。やや独善的?笑)。

 

見方によってはピクサーの『トイ・ストーリー』(1995年、ジョン・ラセター監督)超えのメッセージ性、諸々のアイディアから来るインパクト(ちょっとイカレたドラッギーな味わい含め)にずっと心が躍る100分間。初見時は、観終わった時にもう一度最初からディスクを再生した。

 

◼︎主題歌、豪華すぎる声優陣

 

主題歌及び劇中歌の『EVERYTHING IS AWESOMEはとても明るく快活な曲なんだけど、原語詞のstickの意味を映画前半では不穏な用語として機能させるために「共産主義バンザイ」風に聴かせ、ハッピーエンドを迎えた後には「みんなが最高だよ、唯一無二!」みたいに響かせちゃうディラン的なセンスも小憎い。

↑これは人から聞いてほえ〜と思った点なので、この程度の言葉遊びは探せばもっと数あることと思う。


クリス・プラットウィル・フェレルモーガン・フリーマンがノリノリで声を当てている原語版も良いが、山寺宏一沢城みゆき玄田哲章が一人何役だよってくらい複数役を引き受けている(山ちゃんからしてみたら少ないくらいだけど)吹き替え版もさり気にすごく楽しいので必聴(日本ならではの台詞「ピカチュウ!ピカ!」とか、「吉祥寺の裏通りにある雑貨屋みたいなとこだね!」みたいなワードセレクトは素直に笑える)。

玄田哲章が声を当てたバッドコップ、原語版だとリーアム・ニーソンが担当しているんだけど、これもどっちもイメージぴったりで爆笑した。

 

何より外せないのが、バットマンの存在。「孤独」「金持ち」とかそれっぽいワードを羅列したテーマソングを搔き鳴らし、颯爽と現れて主人公のいいことどりしていくキザなやつ。

 

だが実のところは少し間が抜けたところがあったりして、その憎めなさから人気キャラとしての地位を確立した(というか、ぶっちゃけ計算づくで愛されキャラの造形を当てられていた気もする)。スピンオフの存在も記憶に新しいですね。

 

余談ですが、こっちは「バットマンが幸せになるためにはどうしたらいいか、本気出して考えてみた!」という内容で。新旧洋画の悪役達がLEGOで出てきたりして面白く、ハリーハウゼンのモンスターはストップモーション的な動きをするレゴキャラとの融和性がめちゃくちゃ高いことも分かった   笑

 

 

◼︎ポップでスマート、知的な冒険譚の行方

 

あれよあれよの展開を経て、物語は収束するのだけどラストで新勢力が登場。え、これってどうなっちゃうの…とあたふたしているうちに楽しいエンドロールへと突入。ここはアナログで作られたレゴのコマ撮りアニメが流れます。端々のクオリティにも隙がない。

 

そして物語は続編へ!!え、本当にどうなっちゃうの???

個人的にはミラー&ロードの作品は二作目が若干肌に合わない傾向がある(一作目の薄い焼き増しに見えてしまったりして)のでハラハラだが、ここは大いに期待して待ちたいと思います。

 

はい、たった今入った情報によりますと監督は前作の2人から『シュレック・フォーエバー』のマイク・ミッチェルに交代と。うーん、あれこれ言うのはまだ早い、待ちます!

 


レゴの世界の物語であるから、西部劇にアメコミ、スターウォーズ等のキャラもわんさか。色んなジャンルのファンもいちいち喜べて良いし、ポップキュートスマート

 

子供から大人まで何も考えずに楽しめる”知的”な映像作品として今後も語られ続けていく一作だと思う。

 

(おわり)