仮面ライダージオウ〜平成ライダー記念作に思うちょっと残念なこと〜

 

仮面ライダージオウ 変身ベルト DXジクウドライバー


仮面ライダージオウ
、めちゃんこ面白いっすね!!

 

やっぱ「ハイーお祭りです!ガワのバトルです!喜んでください!」の方向性より、ちゃんと各過去作が本来持っていたテイストを汲んだ話で視聴者を引っ張る方が好きだ。

 

もちろん過去の記念作のような画的な映えは無いが、シリーズ各作の魅力を裏返したような敵が迫り来て、ライダーとしての人生を歩まなかった過去作の主人公格らが出てくる展開には別の意味でのワクワクがある。個人的な感慨を述べれば、この番組でピックアップされるキャラクターらがあり得たかもしれない分岐を辿った姿だと思うと、そこにあるフレッシュな驚きに興奮を隠せないのだ。見てはいけないものを目撃してしまった故のバツの悪さが楽しいと言えばちょっと違うかもしれないが、それに近い感覚がある。

 

ただ、満足度が高い話が続くゆえの高望みというか、「もっとこう〜」云々と思ってしまう点があるのは確かだ。あまりに個人的な雑感となるけれども、そこをちょっとつついてみたいと思う。

 

 

■もっと先輩達の背中から学ぶ場面を見たい

とことんレジェンドとの共闘が無いことに関しても、「これはあくまで『仮面ライダージオウ』ですから!」という風で大変良い。だが、主人公らがレジェンドの生き方やその背中から何か学ぶところがあると個人的にはもっと嬉Cですね。プロデューサーの白倉伸一郎曰く、「レジェンド(先輩)に対してペコペコするような奴は主役になれない」という信条があるらしいが、まぁ説教垂れられたりする場面はなくていい。その点ではエグゼイド編とかなかなか満足度が高かったのですが(エグゼイドが患者に立ち向かう姿を目にしたジオウがツクヨミゲイツにも心境的な共通点を見出し、自身に対しての抑止力的な役割を担わせるところには痺れた)、他にもそういった絡みが見られると嬉しいところ。

 

■過去の人物との邂逅時、それぞれのリアクションが小さい

そして、せっかくこれだけキャラが濃い不揃いヒーロー達が対面するのだからそれらの特徴についてツッコミや指摘が欲しいところだ。主人公の必殺技を目にしてレジェンドが「何か違う…」とこぼすだけじゃなく、仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX(坂本浩一監督、2011年)でフォーゼの決め台詞を聞いた翔ちゃん(ダブル)がビックリするとか、仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』(柴崎貴行監督、2014年)で互いの武器を入れ替えたライダー達が見た目や機能性のギャップにちょっとはしゃいで見せる〜とかの展開に近いものが欲しい。共闘は設定上無理でも、そう言った掛け合いはどうしても期待してしまう。

また敵が撃破された際に時代が正史に書き換わり、レジェンド達に「ライダーの記憶」が戻るという一幕も存在するのだが、そこでの戸惑いが克明に描かれてたりしても…ぶっちゃけ面白いですよね。今まで戦ってきた敵、仲間の姿が丸ごと霧散する様まで思い出して自身のアイデンティティ消失に唖然とする姿を見たくないか?と言われればちょっと嘘になる。その場面での逡巡、逆に「自分はライダーで無かった方が幸福な生活を送れていたのだ…!」と、業から解放され清々しい顔を見せるレジェンドがいてもそれはそれで面白いと思う。ここでのやり取りもしっかり見せてくれると嬉しい。

 

■未来人2人のカルチャーギャップを視認したい

あとは、50年後の未来から2018年へ訪ねて来た2人のカルチャーに対する反応が希薄であるというのが残念だった。

たとえばソウゴの家の家電製品の使い方が分からず苦労する一面がある〜とかはそのまま美味しいギャグになりそうだし、家で出された食事に対する未来人のリアクションからオーマジオウの圧政の様子を伝達できたりもしたのではないか…という話。

ギャップを拾っていくことで別の観点から物事が把握でき、事件解決に繋がる〜という一幕だってもっとあって良いと思う。やっぱり未来から来た2人を生活にすんなり馴染ませてしまっては、その素材としての旨さが十分に発揮されないように思うのだ。

彼らの文化水準が不明瞭であるというのも気になる。ゲイツがドイツ語に堪能である等という設定からいくらでも未来の情勢を辿っていけそうなところ、普通にスルーされてしまったのも思い返せば惜しい。外国語の習得が義務化されているとか、何かテクノロジーを用いた特殊な学習法があって、諜報員みたいに養成されるとか…。やはりオーマジオウに虐げられる未来の生活や世界の在り方が日常の会話や彼らの挙動から伝わって来ないというのは、全体的な物語にノリづらい一因にもなってくる。

これも全て、なにかの伏線だったら凄いんだけどね!

 

■ぶっちゃけジオウ、今のところ大好きです

平成ライダー20周年を飾るジオウ、個人的にはなかなか渋くて好きなんです。ポップでカラフルな物語の中に不穏さが見え隠れするような平成二期風でなく、殺伐でやや枯れた空気感の中を行く一期テイストを感じさせるストーリーの数々にはちょっとした新鮮さまで覚えたりして。男女の話になると(割と露骨に)性的なウェットさを帯びたりするのも少し昔を思い起こさせて良い。

合間に補完計画を挟むせいかキャストの演技上達ぶりにもすでに眼を見張るものがあるし、趣向が凝らされどんどん見応えあるものになるアクションシーンも楽しい(坂本監督回はちょっと別格でしたが…)。大盤振る舞いの怪人達の造形も冴え渡っていてカッコいい…長所を上げればキリがないところから言っても、もうすでに私は作品の虜なのだろうな。あああオタクが止まらないああああ(故障)

次はゲンム&オーズ編ということだが、脚本の毛利亘宏はどんな手管で物語を魅せてくれるのだろうか。噂では「脚本家としてソウゴをぐいぐい魔王の道へと導くのが自分の役目」と宣っていると聞いたが、これは今後凄い展開が期待できそうだ。とりあえずは次の回が待ち遠しい。

Twitter公式からの次回予告↓↓↓(・v・)

 

ひなちゃんすごく綺麗になったな…

(おしまい)